社会課題解決の最前線でこそ学べ!経済性と社会性を両立する事業のヒント
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企業で働くビジネスパーソンが常に問われているのは、企業の持続的な発展に他なりません。持続的な発展を目的に、顧客への価値提供、人材の育成と開発、財務の健全化など、多岐に渡る業務を行っています。
中でも、これまでの正解が置き換わるスパンが短くなった今の社会において、新規事業の開発や既存事業の変革といった、イノベーション推進への重要性が非常に高まっています。このイノベーション推進においても、これまで求められていた合理的な「経済性」だけでなく、近年の社会課題に対する関心度の向上から、事業活動が社会に与える影響、すなわち「社会性」を追求することが求めらるようになりました。
そう、経済性と社会性を両立した事業づくりは、この先の企業の持続的な発展において非常に大きな大きなカギを握っているのです。
経済性と社会性を両立した事業に対して、批判する方はまずいないでしょう。一方で、「大切だ」「目指したい」と思いつつも、「実際に取り組んでいるが、両立することは難しい」「どの様に両立すればいいのかわからない」など、正解が無いがゆえの難しさ・苦しさを感じているご担当者は多いのではないでしょうか?
「本当は取り組みたいが、諦めざるを得ない」「どうすればいいか分からない」
こうしたジレンマにいかに向き合えばいいのでしょうか?そのヒントは、社会課題解決の最前線、現場にこそあります。
今回は、企業が社会性と経済性を両立するための要素と、それらの要素を持つ社会課題の現場への訪問について、解説をします。
目次
フィールドリサーチの意義ー社会課題の現場に行くことがなぜ大切なのか?ー
社会課題の現場に行くことがなぜ大切なのでしょうか?それは、「確からしさを高める」の一言に尽きます。今起きている事象、その背景にある構造、関わっている一人一人の挙動や思考、置かれている状況を正しく捉え、事業の「確からしさ」が高まった時、その事業は初めて「求められる」「実現可能な」「地に足付いた」事業になります。
そのために必要な要素が、社会課題の現場への訪問、すなわちフィールドリサーチです。社会課題の現場・社会課題解決の場に赴くことで、解決策や事業の確からしさを高めることができます。
それでは、社会課題の現場に行くことで、具体的にどんな効果があるのでしょうか?3つに分けて説明します。
『デスクリサーチだけじゃダメなの?』本物のニーズ・インサイトを正しく掴む
社会課題の現場への訪問や直接的な対話を通じて、ステークホルダーや地域の抱える包隠さぬ実態をに触れることができます。侮ってはいけないのが、この現場への訪問は、表面的なデータや報告書だけでは得られない、ニーズやインサイトに対しての深い理解を得ることに繋がります。
例えば、障害者雇用を例に見てみましょう。法定雇用率の達成率を見てみると、未達成企業は51.7%、その多くが中小企業であることがわかります。制度や社内インフラの作りやすさ、特例子会社制度の利用などから、規模の大きな企業による達成がしやすいと言われています。
一方で、大企業の担当者に話を伺うと、「1年以内の離職率が実は高い」など、リテンションの課題を抱えていることに気づきます。その原因を探るべく当事者に話を聞いてみると、「現在の社内の制度設計が、障害を前提に作られていない」「この先のキャリアを描きづらい」など、所謂報告書や企業の広報の文脈では捉えられない当事者のニーズやインサイトを捉えることができます。
社会課題の現場に足を運ぶことで、誰がどんな課題に直面しているのか、その背景には(いいづらいことも含めて)どんなものがあるのか、など一次情報をリアルに感じ取ることができます。顧客のニーズを正しく捉えられると、企業はニーズに即した”本当に使われる”製品やサービスを提供できるようになります。
『あなたの仮説は、本当に正しいのか?』ー正解が無い領域と向き合う際の仮説の精度ー
先ほどは、現場でしか見ることのできないニーズやインサイトについて話しました。一方で、事前に何も仮説を立てることなく、社会課題の現場に赴いても、ただの気づきで終わってしまいます。
大切なのは、当初の仮説とどんな差分があるか、です。社会課題解決は前例が少なく、正解はありません。正解が無い領域に向き合う際に必要なのが、仮説の精度の高さです。この仮説が実態に即したものになればなるほど、事業の確からしさが向上します。
例えば、街づくりの課題。ある政令指定都市郊外エリアでの子育て世帯数が少ないことに対する仮説を、「子育て世帯へのサポートの少なさゆえに新たな世帯の転入が生まれない」と仮説を置きました。一方で、現場に来て、行政や金融機関、不動産会社などの様々なプレイヤーに話を聞いてみると、サポートは十分にある一方で、車が必要なリッチにも関わらず、交通アクセスの困難から選ばれづらいという実態を把握しました。これにより、当初抱いていたサポートの不足という仮説から、交通困難者という新たな仮説に切り替わることとなります。
質の高いアウトプットは、質の高い仮説からしか生まれません。仮説の質を高めるために、社会課題が今まさに解決されている現場や様々な社会課題のステークホルダーがいる現地に赴き、「現時点の仮説が本当に確かなのか」を検証してみることをお勧めします。実態を知っている誰かに、自ら仮説を話す中で、皆さん自身の理解度が浮き彫りになり、実態との差分に気づくことができるはずです。
『自分の領域だけ見てればいいわけじゃないの?』ー思わぬ解決のヒントが眠る、社会課題の現場ー
これまで、皆さんが向き合うテーマの社会課題の現場にのみフォーカスして話してきました。このような話をすると、「自分たちが関係ある現場にしか行かない!」という考えになるかもしれませんが、それはあまり良い考えではありません。なぜなら、社会性と経済性を両立した先進的な事例に取り組む現場に行くことで、自分たちの事業に対するヒントを得ることができるからです。
一見、全く関係ないように見えるソリューションが、自分が取り組む課題に対して、良きユースケースとなることが多々あります。
例えば、伝統産業の課題について考えてみましょう。国内での利用機会の減少や、一子相伝の中で担い手が減少していることから、稼ぐことが難しくなり、その数はさらに減り続けています。この構造と同様の構造を持っているのが、日本の一次産業です。例えば漁業では、食文化の変化から国内での海産物消費が減少し、さらに「3K(きつい、汚い、危険)」というイメージから、漁師への成り手がいなくなっています。しかし、この課題に向き合い、社会性と経済性を両立するプレイヤーも存在します。
一見関係ない課題に見えるかもしれませんが、構造、消費者、インサイト、事業モデルなど、正解が無い領域に向き合ううえでたくさんのヒントがあります。
社会課題の現場は、経済性と社会性を両立する事業の宝庫
このように、「社会課題の現場」に行くことで、社会性と経済性を両立するためのポイントを得ることができます。
実際に現場で社会課題解決のトップランナーや当事者、ステークホルダーらと対峙すると、如何に自分たちが社会課題の一部分しか認識できていなかったかを痛感していただけると思います。そして改めて、社会性と経済性の両立には、現場で起こっている実態にいかに真摯に向き合えるかが、最も重要な要件になります。
一方で、
「社会性と経済性を両立する、ユースケースとなりうるトップランナーにどう会えばいいのか?」
「現場にいるステークホルダー、自分達だけではそんなに簡単に話を聞くことはできないよ」
と、多くの方は思うかも知れません。
私たちリディラバは、10年以上社会課題をビジネスで解決してきた経験を活かし、全国の現場に企業の方をお連れする研修プログラム「フィールドアカデミー」ほか、企業のご担当者様毎の様々なご要望にお応えするプログラム・フィールドワークを造成してます。
リディラバはこれまで、日本全国400を超える社会課題解決に挑んできた現場とのネットワークを結んできました。中でも、リディラバでは独自の基準を基に、企業人の学びに資する複数の社会課題の現場を厳選、企業の皆さまの目的に沿う形でお連れしています。
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社会課題解決のトップランナー、特定の課題のステークホルダーや当事者の方との繋がりなど、皆さんのご希望・ご要望に合わせたコーディネートが可能です。
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