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徹底検証!越境学習:フィールドアカデミーの学び・気づきは、現業に直結するのか!?

#コラム

徹底検証!越境学習:フィールドアカデミーの学び・気づきは、現業に直結するのか!?

イノベーション、とりわけそれを生み出す選択肢が溢れる昨今、人材育成のご担当者は、目的達成やコストといったさまざまな要素から、苦慮されているのではないでしょうか。特に、これまでの社内研修にはなかった、社外との協働・学びを持ち帰る一手として『越境学習』を比較検討されていることかと存じます。

とはいえ、近年広がりを見せる越境の市場。「越境学習を一つに選びたいが決め手に欠けている…」「普段の仕事に繋がる越境学習なんてどのように見つけたら良いのか?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、私たちリディラバが運営してきた越境学習:フィールドアカデミーを例に、「越境学習における学び・気づきが、本当に現業に直結するのか?」について、解説していきます。

この記事を通して、少しでも多くの企業のご担当者に、フィールドアカデミーの効果に限らず、越境学習への希望を持ち帰って頂けますと幸いです。

〜社会課題の最前線で学ぶ〜フィールドアカデミーとは?

私たちリディラバが運営するフィールドアカデミーは、経済産業省「未来の教室」実証事業から生まれた、企業人が慣れ親しんだ会社の外に”越境”し、社会のリアルな課題にゼロから挑む、異業種合同型の人材育成プログラムです。

参加者であるビジネスパーソンの方々は、社会課題の最前線で現地・現物に触れ、多様な業種のメンバーでチームを組み、自ら取り組む課題の設定をし、解決策の提言するまでの事業づくりのプロセスをゼロから挑戦して頂きます。

フィールドアカデミーの最大の特徴は、私たちリディラバが独自の基準で選定したこの「リアルな社会課題の現場」で課題解決に挑戦することにあり、みなさんはそのプロセスを通じて「仕事の在り方」に向き合っていただけると思います。

つまり、フィールドアカデミーとは、正解の無い社会課題にゼロから挑戦する経験を通じて、自分自身の仕事や理想への向き合い方を再定義し、自律性を持った会社変革のビジネスパーソンを育成するプログラムです。


越境学習の効果測定はどうする?フィールドアカデミーが持つ仮説と測定指標

「越境学習の効果をどのように評価するのか?」

これは多くの人事や人材育成の担当者が直面する課題です。なぜならば、限られた期間でスキルや能力の伸長を測ることは容易ではなく、また参加者個々人によって変化する要素は異なるためです。

まず、研修効果とは、参加者が研修プログラムで得た学びや気づきを職場で実践し、研修の目的を達成することを指します。管理職や専門職に求められる特定のスキル—例えばマネジメントスキルやテクニカルスキル、対人スキルなど—の獲得を目的とする研修は、その成果が明確であり、事前と事後のスコアの変化から効果を測りやすいものです。

一方で、越境学習を代表するイノベーションを目的とした研修プログラムは、ゼロから新たな価値を生み出す”総合格闘技型”の研修であるため、研修効果を定量的に測ることは難しいといわれています。そのため、多くのケースでは、参加者の満足度という、職場での実践や研修目的の達成を測りづらい基準で評価せざるを得ない状況です。

フィールドアカデミーにおいても、この問題を解決するための仮説があります。

越境学習に関しては、特定のスコアが明確に向上するものではないことを事前にお伝えしています。しかし、参加者自身が挑戦に向き合う意義を明確にし、プログラムを通じて高品質なアウトプットを生み出すことができれば、現業に直結する学びや気づき、変化が生まれると仮説を立てています。

この仮説のもと、「その場限りの研修で終わらせず、業務に活かされる」ことを目的に、フィールドアカデミーでは研修の評価を【仕事との関連度】【有用度】【自己効力感】といった指標で測定し、その先の実際の活用についても評価しています(2024年現在)。

現業に直結する、フィールドアカデミーでの学び・気づきは何なのか?

では、実際に私たちリディラバが運営する越境学習に参加した企業人の方々は、研修効果である「フィールドアカデミーと仕事の接続」について、どのように振り返ったのでしょうか。

今回はフィールドアカデミーの効果に注目してお伝えすべく、2022年度に開催した5プログラムに参加した計61名に向けて実施した、最終セッション後のアンケート結果をご紹介します。

Q.フィールドアカデミーを通した「学び」は、仕事に接続できるのか?

関連度・有用度・自己効力感の全3つの側面から、フィールドアカデミーを通した学び・気づきを自身の現業に接続できると、参加者の90%が回答しています。

Q.フィールドアカデミーでのどんな「学び」が仕事に活用できると感じたのか?

では、具体的にはどのような「学び」が仕事に活きると感じていただけたのでしょうか?

ここでは参加者の方の声から、フィールドアカデミーで得られる学び・気づきには、大きく3つの傾向に分類があります。

①デスクリサーチでは掬えない課題の本質に向き合う学び

「社会課題の解決」と一言でいっても、置かれている環境や立場で見ている視点が全く異なる。ヒアリングを通じてn=1の情報を深堀りし、ターゲットの感情まで入り込み、リアリティを追求する事で、困りごとの解像度を上げ、提案の中身をシャープにしていく行程は、他の業務でも使えそうだと感じた。(FA@十日町参加者)

社会課題の現場には、トップランナーや当事者、NPO、市民などさまざまなステークホルダーの想いや考えがあります。フィールドアカデミーでは徹底した現場主義を貫いており、「そのデスクリサーチは本当に正しいのか?」を繰り返し仮説検証しながら本質的な課題に向き合う過程を大事にしています。よくあるケーススタディとは異なり、参加者自らが取り組むべき課題を設定することも特徴です。

②他者と刺激を与えあい、他者と協働する学び

社会課題に限らず自分の仕事にも絶対の正解はない時代。 異業種、価値観等が大きく異なる中で、質問の観点やディスカッションの視点・進め方など様々な違いがあり、難しさと新たな学びが多くチームで合意形成しながら前に進めていくという過程は業務にも通じると感じた。(FA@十日町参加者)

フィールドアカデミーのもう一つの特徴として、異業種合同のチームで課題解決に取り組むということがあります。「普段の業務では関わることのない仲間との協働」という難しい挑戦をするからこそ、これまで知らなかった新たな価値観が生まれたり、想像もしていなかった化学反応が起きたりするのがこのプログラムの魅力です。また、本気で挑戦する仲間との関わりを通して、「自分はこのチームに何が貢献できるのか」「自分の何が足りていないのか」というように、仕事をする自分自身に向き合うきっかけにもなります。

③自分起点で「あるべき姿」を描く学び

答えのない課題に取り組むときは、ステークホルダーの話を聞き、情報を集め、ファクトと意見を整理し、自分の立ち位置を決めた上で論理的に解決に向けた取り組みをする、という手順をゼロから実践できた。「自分が決める」という意思と覚悟を持つということが大切。(FALITE@日本フードエコロジーセンター参加者)

社会課題は私たちの想像以上に複雑であるが故に、「ある状況を教えてもらおう」という受動的な気持ちで臨んでも、ただ分かった気になって終わってしまうことがほとんどです。「自分はこの状況を解決したい」という強い意志を持ち、自分の切り口で社会課題に向き合って初めて、その課題の構造が見えてくるのです。だからこそフィールドアカデミーでは、ひとり一人の主体性を尊重し、ゼロから提言を作り上げるミッションを託しています。

Q.フィールドアカデミーでの「学び」をどのように仕事に活用したのか?

フィールドアカデミーの実施期間が終わるまでの間(2ヵ月~4ヵ月)において、現業に戻ってからフィールドアカデミーでの学びを活用している参加者は約7割に上ります。うち¼の参加者が、学び・気づきを活用して、良い効果が出ていると回答しています。

フィールドアカデミー参加後に社内でアクションを起こし、社会にインパクトを与えている事例は多くあります。

例えば、「限界集落と農業」というテーマのプログラムを行った後、参加者の1人が不動産会社の立場として「農業を基点にした広域型の新たな街づくり」を目指した子会社を立ち上げを行いました。また、「障がい者雇用」をテーマにしたプログラムの参加者が、当該テーマに関する社内の勉強会において有識者として登壇したと事例もあります。

その他、規模の大小を問わず、共通する傾向としてあるのは、フィールドアカデミーでの学びは、社内外を問わず、コミュニケーションや事業提案など組織・チームとして物事を推進する際に活用されています。

例えば、

経営方針の現場への理解浸透

私自身が現場に出向き、あるDX案件について現場スタッフに説明した際に、「私の考え方は一方通行であり、現場の皆さんの考え方とはギャップがあると認識している。そのギャップを出来るだけ少なくしていきたいので、協力して欲しい」と話した時点で、当事者の顔つき、目つきが変わったように感じました。(FA@十日町参加者)

部門を超えた業務改善アクション

諦める前にやってみるという事で、他部署に業務プロセスの改善を議論しに行きました。費用が発生するので、すぐに改善できる事ではないのですが、来年〜再来年に向けて議論を続けていき、どうすれば改善出来るかのスタート地点に立てた気がします。(FA LITE@三津浜参加者)

このように、参加したビジネスパーソンが、自分の目の前にある業務領域だけに留まらず、更なる価値創造のために、領域の深化やステークホルダーとの共創に対して、自律的に取り組んでいる傾向があると言えます。

〜フィールドアカデミーが仕事に活きる訳〜リディラバだからこそできる人材育成の形
なぜフィールドアカデミーでは、参加者の9割が、研修での学び・気づきを、自分の職場での現業に直結させることができるのでしょうか。

まず、社会課題の現場にある人・モノ・情報は、個人の価値観/キャリアを相対化させます。普段の業務では出会うことのない社会課題や異業種のメンバーに触れることで、自分の価値観や考え方を相対化し、現状では気づけない新たな視点を得ることができます。この「気づき」は、現業を捉えなおし、取り組む意義やその先のインパクト、目指すキャリアを大きく変化させます。

次の私たちリディラバの存在意義である、「社会課題のプロフェッショナルとしての、変容のための体験設計」にあります。多くの越境学習の場合、取り組む社会課題そのものの理解やそのフィールドにいるプレイヤーが限定的なこと、本質を捉えた事業化へのノウハウがない為、アウトプットの質も一定のレベルに留まります。リディラバがこれまで培ってきた社会課題解決のプロセスを活用し、表面的な解決策ではなく課題の本質に迫る、質の高い解決策を生み出すプロセスを体験できます。質の高い解決策を生み出すプロセスの設計の緻密さが、参加者の研修効果を確かなものにしています。

真に社会を変えうる提言の要素と、プログラム全体を通した要素の獲得

これらの要素が相まって、参加者自身の変化や学びが生まれ、それが現業に活かされる越境学習が実現しています。

フィールドアカデミーでの挑戦は、参加者を根底から変容させる

「社会課題に向き合い、社会課題を解決するためには、自分が創りたい社会に向き合い、自分の仕事の在り方を見つめ直さなければならない」

フィールドアカデミーに参加してくださった企業の方からはよくこんな声をいただきます。

プログラム中は必死になって社会課題に対峙している参加者も、プログラムを終えて振り返ってみると、それが自分自身、そして自分自身の仕事と対峙する時間でもあったと気づいてくれるのです。

そしてその気づきがあるからこそ、フィールドアカデミーでの学びを、会社に戻った後の仕事に活かしていただけるのだと思います。

これまでの研修や越境学習では物足りない人材育成を担う皆さま方、是非リディラバまでご相談ください。