真の『課題解決力』を育む人材育成研修の特徴とは?-変革を実現させる3つの要素-
私たちは今、予測不可能な社会を生きています。グローバル化や情報技術の急速な発展、市場の飽和などといった目まぐるしい変化の中で、多くの企業が「これまで通りのやり方では先が見込めない・対応することが難しい」という現状に直面しています。
言わずもがな、この厳しい現状に向き合うビジネスパーソンに最も必要とされる力は『課題解決力』であると言えます。
一方で、「課題解決力を養ったところで、普段の業務課題や実際の経営課題の解決には至り切らない」「ケーススタディレベルではなく、”真に必要とされる”課題解決力を育む人材育成研修はないのか?」と頭を悩まされている人材育成部門の方も多いのではないでしょうか。
本文では、本当の意味で企業や社会から必要とされる『課題解決力』の三大要素と、それぞれの効果をより経営や業務の課題に対して発揮する人材育成研修の特徴を解説していきます。
今、ビジネスパーソンに真に必要とされる『課題解決力』とは?
そもそも『課題解決力』とは何でしょう。多くの方が、「目の前にある課題に対して、解決策を考える力」を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし今、ビジネスパーソンに真に必要とされる『課題解決力』とは、単に解決策を考えるだけに限らず、「自社が向き合うべき本質的な課題を見極め、主体的にそれを解決する力」です。
例えば、昨今、企業の現状として経営判断の迅速化や業務の非効率性が話題に上がります。「じゃあ解決策は今流行りのAIやDXで考えよう!」といった提案を耳にすることがあるでしょう。しかし、「なぜ業務が非効率的になっているのか」といった現状分析や「理想の業務状態はどんなものか」といった進むべき方向性の決定などによって、向き合うべき課題を適切に設定しなければ、本当に価値のある解決策は生まれません。もちろんAIやDXの導入には一定の効果が期待できますが、それらが本来成し遂げたかった目的の達成になったり、企業にとって確かなインパクトを生み出したりするとは限らないのです。
つまり、『課題解決力』には「解決策を考える力」だけではなく、手前の「課題を設定する力」も重要な要素として含まれているのです。また先述したように、課題を設定するためには、現時点の状態「現状」とこうありたいと主体的に目指す未来である「理想状態」との差分を見出さなければなりません。
このように、課題解決力には実はさまざまな能力が含まれています。
これまでの話をまとめると、『課題解決力』とは、「向き合うべき本質的な課題を自ら決定し、自ら解決に導く力」であると言えるのです。
真に変革を実現させる『課題解決力』の3つの要素
では、この課題解決力をさらに詳しく見てみましょう。
今、ビジネスパーソンが真に求められる『課題解決力』は、大きく分けて3つの要素で構成されています。
具体的に、
①正確に現状を捉え、理想状態を描く力
②課題を適切に設定する力
③課題解決へとドライブする力
の3つです。
では、それぞれの要素はなぜ・どのように必要になるのでしょうか。
①正確に現状を捉え、理想状態を描く力
課題解決において最初に重要となるのは、「正確に現状を分析し、理想状態を考える力」です。
多くビジネスパーソンは、「現状をいかに正確に捉えるか」に焦点をおいています。3Cや4P、SWOT等のフレームワークを思い浮かべると、「今の起きていることは何か」「今の困りごとは何か」を捉え、この今を打開する為の対応策をつくる事においては、非常に能力を発揮しています。
しかし、「今現時点の状態」である現状だけでは、課題を正確に捉える事は出来ません。なぜなら、課題とは「今時点の状態」とあるべき理想状態との差分であるためです。そのため、現状の精緻な分析に加え、理想状態を描く力こそ、課題解決において重要な鍵を握っています。
ここでいう理想状態は、「こうありたいと主体的に目指す未来」を意味します。ビジネスパーソンが課題解決を行なう時、「売上を〇〇万円に上げる」「〇〇がある状態」といった目標が存在していることが多いかもしれません。もちろん数字や、○○がない状態の逆の状態を掲げることは間違いではありませんが、本来的には「その先になし得たい何某か」があっての指標です。
事業目標のその先に、「企業/社会がどんな状態を目指すのか?」を自ら主体的に、そして解像度高く想像することがそもそもの課題を見つけるにあたって不可欠なのです。
②課題を適切に設定する力
課題解決においてはさらに、課題を適切に設定する力が必要となります。なぜならば、現状と理想状態の差分である課題は無数あり、解決を目指すためには最も本質的な課題を1つを選び取る必要があるためです。
例えば、社内で「人材育成研修が形骸化している」という現状があったとしましょう。その際、理想として「人材育成研修で社会に新しい価値を生み出す人材を育てられている」という状態を描いたとき、課題は「研修の目的を明確化できていない」「研修の目的は明確だが、手段が適切でない」「手段も適切だが、正しい仮説検証が回せていない」等、課題は多岐に渡ります。数多ある課題から、何を取り組むべき課題とするかによって、その先で取り組む解決策は大きく変わります。逆を言えば、前提となる課題設定を疎かにしたり、課題を見誤ると、解決につながらないことも多々あります。
③課題解決を推進させる力
課題解決において最後に重要となるのは、実際に課題解決へと推進させるる力です。課題を設定した後、それをどう解決するか考えるというのは一見当たり前のことのように思えますが、実はそう簡単ではありません。
まずは実現可能な解決策を設定することが重要です。
解決策は、①正確に現状を捉えて理想状態を描くこと、②課題を適切に設定することのその先に見えてきます。逆を言えば、取り組む課題への理解がシャープであればあるほど、自ずと選ぶべき解決策は明確になります。
また解決策の設定後は、その実現に至るまでにやるべきことをやりきる力が求められます。課題を解決するためには、合理的な考えだけではなく、情熱的な思いも必要です。目の前にいる一人を、買いたいと納得させられる価値を創れるのか?仮説検証に最後まで拘り切れるのか?実現可能性を高めるためにできることはすべてやり尽くしたのか?など、挙げればきりがありません。
ロジカルな課題と解決策の設定、解決を推進する熱量の両輪があってこそ、地に足付いた、実証可能性の高い課題解決に至ります。
『課題解決力』というと、課題を解決する力と抽象度高く捉えられがちですが、真に変革を実現する(させる)『課題解決力』を分解していくと、①~③の様な具体的な要素に分解することができます。
真の『課題解決力』を育む研修の特徴
では、どのような研修であれば総合的な力である課題解決力を育むことができるのでしょうか。
ここでは①〜③に分けた課題解決力の要素を元に、それぞれの力を育む研修の特徴について解説していきます。
「正確に現状を捉え、理想状態を描く力」を育てる研修の特徴
正確に現状を捉える力を養うためには、多様なステークホルダーの声を聞き、多角的な視点から領域を理解する経験が不可欠です。よくある研修として、偉い先生の講演を受け身で聞くというものがありますが、ある特定の立場の人の話だけを聞いて、その領域について全てを理解した気になるなんてことは少なくないはずです。単に、一側面へ耳を傾けるだけでなく、「他の人の視点ではどうなのか」「今の問題はなぜ起きているのか」と、多角的な視点から全体構造を捉える過程が大切なのです。
同時に、理想状態を描くにあたっては「自分がこうありたいと主体的に目指す未来」を考える必要があります。そのためには領域と自分の接点を見つけるきっかけとなる内省の機会が重要です。単に新しい価値観に触れるだけでなく、自分自身の経験や内面と向き合う時間があって初めて、研修は真に社員を変えうるものとなります。
「課題を適切に設定する力」を育てる研修の特徴
課題を適切に設定する力を育むにあたっては、研修の中でゼロから課題を設定する経験を設計する必要があります。しかし、自ら課題そのものを設定することができる機会は実はあまり多くありません。例えば、一般的な研修としてケーススタディがありますが、ケーススタディでは課題解決のパターンを学ぶことはできても、課題設定の過程を経験することはできないのです。
一方で、ビジネス、特にこれからの時代の業務には課題そのものを設定しなければならない場面が多く予想されます。そのため、他者から与えられたお題ではなく、自らが解くべき課題に挑戦するというのが今後の研修のあるべき姿だと言えます。
課題解決へとドライブする力を育てる研修の特徴
課題解決へとドライブする力を伸ばすには、自らの解決策にフィードバックをもらえる環境、協働する仲間の存在、「なぜ自分がやるのか」を問うことができる時間が必要となります。普段の業務では同じメンバーで仕事をすることが多く、新しいフィードバックを貰ったり新しい人を巻き込んでプロジェクトを推進したりする機会は中々ありません。だからこそ、研修においては社員が主体性を持ってなぜやるのか、何をすべきなのか(WHY・WHAT)を自分の言葉で語り、周囲と合意形成しながら変革をリードする環境を整えることに大きな意味があります。
今こそ、課題解決力を最大化する研修を
説明した通り、課題解決力と一言で表しても、分解すると様々な要素が含まれており、それら全てを育む研修の機会を自社内だけで設けるのは、ハードルが高いはずです。
リディラバは、真に社会を変革する自律型人材を輩出する過程で、課題解決力を育む研修を多くの企業様に届けています。
人材育成プログラム:フィールドアカデミーは、経済産業省「未来の教室」実証事業(https://www.learning-innovation.go.jp/recurrent/)から生まれた、企業人が慣れ親しんだ会社の外に飛び出して、社会のリアルな課題にゼロから挑む、越境学習です。
- 共に課題解決に取り組む、バックグラウンドの異なる異業種の仲間との他流試合・協働共創
- 単なるケーススタディではない、今まさに起こっている社会課題の現場への訪問
- 問題の構造把握と、多様なステークホルダーとの対話を重ねた、理想論ではない地に足付いた、真の課題解決
FAはこれらの特徴を持ち、真に課題解決ができる人材の育成を行っています。
ここで強調したいのは、リディラバは単なる研修ベンダーではなく、社会課題に実際に事業を通して解決に取り組む「社会課題のプレイヤーであり、プロフェッショナルである」ということです。だからこそ、ケーススタディや部分的な社会課題の体感だけではなく、実際に課題解決が求められている社会課題のフィールドにビジネスマンをお連れし、その領域のボトルネックに根差した課題解決を実行しうる人材を育成できるのです。