プロボノって何?ボランティアとどう違うの?仕組みやよくある疑問をリディラバが徹底解説!

「最近よく聞くプロボノって何?」「プロボノとボランティアの違いがわからない…」「プロボノ制度を自社の研修に取り入れてみたい」 プロボノとは何かをソーシャルセクターの視点で徹底解説。
ボランティアとの違い、プロボノ支援の内容と進め方、副業との違いやよくある質問まで網羅的に解説していきます。
目次
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社会・市場の変化が速い今、必要なのは「早く解く力」よりも「何を、なぜ解くか」を自ら定め、社内外を巻き込んで前進させる高い当事者性です。
リディラバのフィールドアカデミーは、経産省の実証実験発の越境型プログラムです。 多業種混成チームで社外・現地のリアルな課題に挑み、WHAT/WHYの課題設定力と推進力を“現場で”鍛えます。 画一的な研修ではなく実装視点が圧倒的なわたしたちリディラバの強みです。
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プロボノとは?その定義
いま注目されている背景

プロボノは、ラテン語の「pro bono publico(公共善のために)」を語源とし、本業などで培った専門スキルを社会課題の解決に無償で提供する活動を指します。
法務分野で弁護士が行う無償の法律相談に端を発し、現在では戦略立案、広報・マーケティング、IT、会計・法務、人事など多様な領域に広がっています。
近年注目が高まっている背景には、企業のサステナビリティ経営やパーパス経営の浸透、人的資本経営の強化、従業員のエンゲージメントの向上・改善といった経営課題があり、企業は「社会への提供価値」と「社員の成長」を同時に実現できる仕組みとしてプロボノ制度を積極的に取り入れています。
特にソーシャルセクターが企画・運営する企業研修とプロボノを連動させる取り組みは、単発の社会貢献を超えて、実践的な学習や組織の変革を促す“学びの場”として大きな成果を上げています。
プロボノの意味と語源
プロボノは「公共善のために」を意味し、個人の善意だけではなく「職業上の専門性を活用する」という点が本質です。
つまり、単に時間を提供するのではなく、スキル・知識・経験を用いて社会課題の解決に資する成果物を生み出す行為を指します。
企業にとっては、社員が本業の延長線上で課題に向き合うことで学びを得て、その学びがまた本業に還元されるという循環を生み出せるのが特徴です。
ボランティアとの共通点と相違点について
プロボノとボランティアはどちらも社会貢献活動であり、共通して「公共の利益」に資する点は同じです。
しかし、プロボノは専門スキルの活用が前提で、成果物やアウトカムが明確に定義される傾向にあります。
一方、ボランティアは必ずしも専門性を求めず、現場支援やイベント運営など幅広い活動形態があるのが特徴です。
企業・個人・NPOで広がるプロボノの潮流
企業では人的資本開示や人材育成の観点から、NPOでは専門人材不足の解消や組織基盤強化の観点から、そして個人では自己効力感やキャリア開発の観点から、プロボノの需要と供給が拡大しています。
コロナ禍以降、オンラインへの移行によって地域を超えたマッチングが容易になり、また、短期のスプリント型から半年〜1年の伴走型まで、さまざまな形式が一般化しています。
ソーシャルセクターがハブ役を果たすことで、課題定義や成果物の品質管理、学習の振り返りが一貫して設計できることも、広がりを後押ししています。
法務分野からビジネス領域へ広がった歴史
プロボノは、もともと弁護士の社会的責務として発展してきました。その後、ITの発展とともにデザイン、プロダクトマネジメント、データ分析、マーケティングなど新しい専門領域が増え、プロジェクト単位でのチーム型支援が一般的になりました。
今日では、非営利のみならず、社会的インパクトを志向するスタートアップや自治体の課題解決にも適用されています。
日本におけるプロボノの現状と課題
日本ではプロボノの認知は高まりつつあるものの、受け入れ側の準備(課題の明確化、データ整備、意思決定の迅速化)や、支援側のコミットメント設計(稼働時間、納期、守秘・知財の取り扱い)など、運営の品質に課題が残ります。
ソーシャルセクターが間に立つことで、課題の翻訳、プロジェクト設計、ファシリテーション、評価・振り返りまでを支援し、双方の負担を軽減することが成功の鍵になります。
次にプロボノとボランティアの
違いを深掘りする

プロボノとボランティアの最大の違いは「専門性の活用」と「成果物の明確化」にあります。
プロボノは、職能や実務経験を前提とした支援で、例えば「広報の計画立てと施策立案」「寄付獲得のためのロードマップ作成」など、具体的なアウトプットが成果として求められます。
ボランティアは必ずしも専門性を前提としないため、運営補助や現場活動など、幅広い参加の裾野があります。
企業の研修にプロボノを組み込む場合、学習目的と成果物が一致しやすいプロボノの方が、研修の評価指標を設計しやすい傾向があります。
スキルの前提:専門性を活かすか、誰でも参加できるか
プロボノでは、参加者のスキルマップをもとに役割分担を行い、経験に応じてプロジェクトマネージャー、ストラテジスト、デザイナー、エンジニア、アナリストなどの機能を編成します。
これにより、受け手側は短期間で高度なアウトプットを獲得でき、参加者側は実務に近い状況での課題解決能力を鍛えられます。
一方、ボランティアでは、参加しやすさを重視し、専門性の有無にかかわらず活動できる設計が多く見られます。
成果物や関与期間・責任範囲の違い
プロボノは、具体的なスコープ成果物、責任範囲が明確です。通常、キックオフで課題定義を行い、プロジェクト期間(例:4〜12週間)や必要なインプット、成果物の受け渡しなどを合意します。
ボランティアは柔軟性が高い一方で、成果や責任の明確化が難しい場合もあります。 企業研修においては、成果物の有無は学習の定着度や評価の透明性に直結するため、プロボノの形式が適しています。
動機と報酬の違い(無償の貢献でも目的が異なる)
どちらも無償性が中心ですが、プロボノは「専門性を社会に還元する」「自分の能力を試す」「学びを本業へ循環させる」動機が強く、
ボランティアは「地域やコミュニティへの貢献」「人的交流」など、動機の幅が広いです。 企業は、プロボノを通じて従業員の専門性を可視化し、評価・育成・配置の高度化につなげることができます。
適材適所での使い分けフロー
まず、支援先の課題を棚卸しし、1)専門性が必要か、2)成果物が要るか、3)期間・責任範囲を明確にできるかを判断します。
3つすべてに該当するならプロボノ、柔軟性や現場支援が重視されるならボランティア、と仕分けると実装しやすくなります。
プロボノ支援とは?

プロボノ支援は、NPO・地域団体・自治体・ソーシャルビジネスなどが抱える課題に対し、企業人や専門家などがチームで関与し、課題解決に対し、具体的かつ実装可能な成果物を届ける取り組みです。
特徴は、課題定義から移管までのプロセスを明確化し、支援後も現場で運用が続くように設計する点です。
ソーシャルセクターがプロジェクト設計・進行管理・品質保証を担うことで、双方の学習価値と実装価値を最大化します。
支援先:NPO・地域団体・自治体・社会起業
支援先は、情報発信や資金調達が課題のNPO、デジタル化が進まない地域団体、政策実装でリソース不足の自治体、プロダクト・マーケで支援が必要な社会起業など、多岐にわたります。
対象の多様性は、参加者のスキルに応じたマッチングを可能にし、学習テーマも幅広く設定できます。
支援内容の例:経営・広報・ITなど
具体例として、ミッション・ビジョンの再定義、事業計画・KPI設計、寄付・会員制度の設計、Webサイト/SEO/コンテンツ設計、SNS運用、広告運用などが挙げられます。
重要なのは、支援後に現場で回せるシンプルな運用設計と、属人化を防ぐ仕組みの整備です。
プロジェクトの進め方の例:課題定義→計画→実行→引き継ぎ
まず課題仮説を立て、現場ヒアリングで検証します。その後、成果物の仕様、スケジュール、役割を定義し、実行フェーズでは短いスプリントを回して小さな成果を積み上げます。
最後に、運用の仕組み作りと引き継ぎを行い、運用定着まで伴走します。汎用的なフレームワークを活用しつつ、現場事情に合わせた「余白」を残すことが成功のコツです。
短期/スプリント型と中長期/伴走型の違い
スプリント型は4〜8週間での集中的な改善や試作に向き、伴走型は半年程度で体制構築や運用定着を狙います。
企業研修と連動する場合は、学習目標と人事評価のサイクルに合わせて設計するのが有効です。
チーム編成:PM・専門担当・レビュー体制
PM(プロジェクトマネージャー)が管理と意思決定を支え、専門担当が実装を進めます。 レビュー体制として、外部メンターやソーシャルセクターの伴走者が品質を担保し、現場の合意形成を促進します。
プロボノと副業の違い

プロボノは原則無償で社会的価値創出を目的とし、副業は報酬獲得とキャリア形成を主目的とします。(ただし謝礼が出るケースもあります。)
両者は対立概念ではなく、個人のライフステージや学習目的に応じて選択可能です。
企業としては、就業規則や利益相反、守秘・知財の扱いを明確にし、従業員の外部活動を適切にマネジメントする必要があります。
報酬の有無と契約形態の違い
副業では報酬が発生し、個人事業契約や業務委託契約が一般的です。プロボノでは無償であっても、NDAや成果物の権利帰属、情報の取り扱い、実費精算など基本合意を文書化することが望まれます。
合意の明確化は、トラブル防止と信頼関係の基盤になります。
就業規則・コンプライアンス・利益相反の観点
副業許可・申請のルール、勤務時間の管理、本業との利益相反、個人情報保護、反社会的勢力排除など、企業側のガバナンスラインを明確にします。
プロボノでも同様に、本業の機密保持やブランド毀損などのリスク管理は不可欠です。
学びとキャリア形成:無償貢献か収入多角化か
プロボノは、実社会の制約条件下で課題解決を行う学習機会として非常に有効です。
一方、副業は収入面のメリットに加え、責任ある立場での成果創出経験が得られます。
どちらを選ぶかは、目的と制約(時間・スキル・家族・健康)を踏まえて判断しましょう。
副業を選ぶべきケース/プロボノを選ぶべきケース
収入の必要性が高く、明確なスキル提供価値があるなら副業が適しています。新しい領域で実験的にスキルを試したい、社会課題の現場で学びたい場合はプロボノを選ぶと良いでしょう。
両者のハイブリッドとして、初期はプロボノで関わり、成果と信頼を土台に有償の伴走支援へ移行するパターンもあります。
税務・守秘義務・知財の取り扱いの注意点
副業では確定申告や源泉徴収、インボイス対応など税務面の手続きが発生します。 プロボノでも、守秘義務や成果物の知財帰属、ライセンス確認など、基本的な法務リテラシーが必要です。
プロボノ参加メリットとデメリット

プロボノは個人・組織の双方に多くのメリットがありますが、同時に運営上のリスクも存在します。
仮に企業研修として制度化する場合は、メリットを伸ばし、デメリットを設計で抑えることが重要です。
個人のメリット:実務経験の拡張・レジュメ強化・ネットワーク
未知の領域に挑戦できる機会、異分野の人々との協働、社会的意義の高い成果創出などのメリットが挙げられます。
現場の制約条件を踏まえながら成果を出す経験は、本業での意思決定力やコミュニケーション能力を高めます。
受け手のメリット:不足スキルの補完・業務改善・成果物獲得
NPOや地域団体にとって、外部からの専門性は組織基盤の強化につながります。短期間でも指標設計やデータ可視化、運用ルールの整備など、長期的に効く改善が実現できます。
リスクと限界:時間配分、期待値ギャップ、継続性
参加者の稼働不足、受け手の意思決定遅延、スコープが拡張し続ける「スコープクリープ」などが典型的な課題です。 これらは、スコープの定義、意思決定者の明確化、定例とレビューの設計で予防できます。
成功の鍵:スコープ明確化とコミュニケーション設計
OKR(目標と成果指標)、RACI(責任分担表)、リスク登録簿、変更管理ルールを最初に合意します。コミュニケーションは「短いスプリント+レビュー」で小さく早く回し、学習サイクルを可視化します。
はじめ方:プロボノ参加のHow to

プロボノを企業研修として取り入れる場合は、学習目標と社会的アウトカムを両立させる設計が必要です。以下の3ステップで始めるとスムーズです。
①自身の棚卸し(スキル・稼働・関心領域)
個人のスキルマップ、稼働可能時間、関心の高い社会課題を整理し、学習目標(例:課題定義力の強化、対話型リーダーシップの習得)を設定します。
②マッチング(中間支援団体・企業プログラム・自治体公募)
課題の透明性と受け手側のコミットメントが高い案件を選びます。 ソーシャルセクターの伴走があるプログラムは、スコープ管理や合意形成がスムーズで、学習の質も担保されやすいのが利点です。
課題やプログラムが気になったらまずはリディラバに相談してみませんか?

「何を、なぜ解くか」を決められる人材が、事業を前進させます。リディラバの『フィールドアカデミー』は、社外の社会課題×多業種協働で、課題設定力と巻き込み力をブースト。
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③プロボノ開始前の準備(目標/KPI・スコープ・スケジュール・成果物)
OKRとKPI、スコープ、成果物仕様、ステークホルダー、レビュー頻度、変更管理、リスク対策をまとめます。成果物の移管なども早期に合意しましょう。
チェックリスト:開始前に確認すべき10項目
①目的の整合性/②成果物の定義/③稼働・期間/④意思決定者/⑤データ提供範囲/⑥守秘・知財/⑦変更管理/⑧リスク対策/⑨移管・研修計画/⑩評価・振り返り方法。
プロボノ支援の具体的スキル・タスク例

企業研修として取り組みやすい代表的スキル・タスク例と、学習テーマのひも付けを紹介します。
戦略・業務改善:事業計画、KPI、資金調達の型
ミッション再定義、事業計画の骨子、KPIツリー、資金調達のストーリーラインなど。学習テーマは、仮説思考、因果構造の可視化、意思決定プロセスの明確化です。
マーケ・広報:Web改善、SEO/コンテンツ、SNS運用
ペルソナ・カスタマージャーニー設計、コンテンツ計画、情報設計、SEOキーワードマップ、計測設計(CV・CVR・回遊)。学習テーマは、ユーザー理解、データドリブン改善、メッセージ設計です。
IT/データ:ノーコード導入、ダッシュボード、セキュリティ
問い合わせ管理や会員管理のノーコード化、KPIダッシュボード構築、アクセス権限・セキュリティ整理。学習テーマは、業務要件定義、データモデリング、運用設計です。
成果を出すプロボノのプロジェクト設計とは?

成果を最大化するには、課題定義、MVP(最小実行可能成果)設計、振り返りによる学習の定着が不可欠です。企業研修としては、成果と学習の二重評価を行うと良いでしょう。
課題定義と仮説設計:現状把握→ギャップ特定
現状のKPI、ユーザーの声、業務フローを可視化し、ペイン(痛点)を特定します。仮説は大胆に、検証は小さく速く。検証用の指標と成功条件を先に決めておくのがポイントです。
最小実行(MVP)と成果物ドリブンの進行
完全をいきなり目指さず、短期間で運用可能なMVPを作り、実戦投入して改善します。成果物は「使われて初めて価値になる」ため、現場の制約に合わせた仕様と運用負荷の最小化が肝要です。
移管・内製化
操作手順、FAQ、トラブルシューティング、改善提案の書式などを整備し、受け手側のキーパーソンに提案します。内製化の準備が整うほど、支援の持続性とインパクトが高まります。
振り返り(学び→次回への改善)
目的・アウトカム・得られた示唆・再現可能な型・次回改善案の5項目で振り返ります。個人・チーム・組織の3層で振り返ると、学習が蓄積されやすくなります。
プロボノについてのよくある質問(FAQ)

プロボノ導入を検討する企業・個人から寄せられる質問に、実務目線で回答します。
Q. プロボノは完全に無償?実費は?
原則無償ですが、交通費や印刷費など実費を支給する場合があります。無償でも、NDA・知財・個人情報の取り扱いは文書で合意することを推奨します。
プロボノでも場合によっては謝礼が出る場合もあります。
Q. 未経験でも参加できる支援領域は?
可能です。調査・ドキュメント整備・ヒアリング設計・テスト運用など、初学者でも貢献できるタスクは多くあります。
初回はスプリント型で参加し、徐々に専門性の高い領域にステップアップすると学習効果が高いです。
Q. 副業禁止の会社でも参加できる?
無償の社会貢献であっても、就業規則や利益相反の観点から事前確認が必要です。
人事・法務と連携し、就業規則と厚労省の副業ガイドラインを整備しましょう。
プロボノとは?ーまとめ
プロボノは、専門性を社会に接続し、企業・個人・受け手の三者に学習と成果をもたらす実践の仕組みです。ボランティアとの違いは、専門性と成果物の明確化にあり、副業との違いは報酬と契約形態にあります。
ソーシャルセクターがハブとなり、課題定義から移管までを設計・伴走することで、プロボノは単発の善意ではなく、組織の学習と変革を生み出す「戦略的な企業研修」へと進化します。