修学旅行の学びが総合型選抜合格につながるまで ~スタディツアー参加生徒の合格体験記~

近年、総合型選抜に挑戦する生徒が増えていると感じている先生方も多いのではないでしょうか? 大学受験の多様化が進む中で、総合型選抜への対応力は、今後の学校全体の受験実績を左右する重要な要素となっています。
一方で、大学側から評価される成果物の作成や面接対策に向けて、「どのようなテーマで準備を進めればよいのか分からない」と不安を抱える生徒も少なくありません。
本記事では、修学旅行中に実施したスタディツアーでの学びや経験を、総合型選抜における企画書・報告書として体系化し、合格へと結びつけた生徒へのインタビューを紹介します。
修学旅行という学校行事を、日頃の探究学習や進路指導と接続することで、総合型選抜対策を強化するためのヒントとなれば幸いです。
目次
リディラバのスタディツアーは
こんな先生におススメ !
- 進路指導・総合型選抜を担当する先生
- 探究学習を担当する先生
- 修学旅行・学校行事の企画選定に関わる先生
今回実施した学校紹介
中央学院高等学校(千葉県)
中央学院高等学校は1970年に設立され、2020年に創立50周年を迎えた歴史ある学校です。
教育目標として
- 「難関私立大学等への進学実績の向上」
- 「資格取得等各種検定試験実施の環境整備」
- 「部活動のより一層の活性化(文武両道)」
- 「地域社会に根ざす学校づくり」
の4つの柱を揚げています。
- 「特別進学コース」
- 「進学コース」
- 「スポーツコース」
の3つのコースがあり、文武両道の精神の下、生徒の夢や目標に合わせた学びができる学校です。
探究学習のカリキュラムの中でも社会問題をテーマに小論文の形で自分の意見を表現できることをめざし、2024年度・2025年度に高校2年生の都内日帰り研修、及び沖縄修学旅行でリディラバのスタディツアーに参加しました。
リディラバのスタディツアーに
参加してみた感想
ーーー 今回は4月と2月とで社会問題に関するスタディツアーに参加してもらいましたが「社会問題といえばこのテーマ」など、社会問題に対して事前に持っていたイメージはありますか?
生徒さん: 入学してからずっと、学校の探究学習で社会問題を調べる機会があったのですが、個人で調べていくうちに、社会問題にも様々な人たちが関わっているからこそ色々な視点を持たないと課題の本質は見えてこないとがわかり、社会問題を探究することはかなり難しい印象を持っていました。
ーーー そんな中、沖縄の修学旅行の中でもスタディツアーに参加してもらいましたがどんなテーマのツアーに参加したのでしょうか?
生徒さん:沖縄のツアー候補には「米軍基地」「シャッター商店街」「海洋ゴミ」など色々なテーマがありました。
これらのテーマにも興味はあったのですが一般的にも知られてる社会問題かなと感じ、初めて耳にした「エシカルファッション」に強い関心を持ちました。
詳細なコース説明を聞いた際に、サトウキビから洋服が作れるということも初めて聞いたため、これは沖縄ならではの社会問題なのかなと思い選択しました。
ーーー 参加してみてどうでしたか?
生徒さん:スタディツアー当日に聞いた「バガス和紙にできるものならばなんでも作ることができる、可能性がある」という言葉に驚きました。
その時おもわず「果物からでもバガス和紙にできれば洋服を作ることは可能なのか?」と質問させて頂きました。
その際の「部品の分量をそれぞれ変えないと和紙が分離してしまうので今後も開発が必要」というお答えだったんですよ。
その時に「これからの発展の可能性は無限大なんだな」と感じて、強く印象に残っています。

ーーー 「エシカルファッション」というテーマは言葉自体も初めて聞いたとのことでしたが、参加後に自分に身近な問題だと思えたとかいわゆる「自分ごと化」した瞬間はありましたか?
生徒さん: スタディツアー参加中に環境問題の話が出て、アパレルファッション業界が世界で第2位の環境汚染産業になっていると聞いた時、
「自分たちが今着ている制服や洋服も全て環境汚染の原因になってるんだな」と気づき、自分も考えなくてはいけない問題なんだなと感じることができました。
ーーー スタディツアーではワークショップで解決策をまとめていく時間もあったと思いますがそこではどのようなことを考えていましたか?
生徒さん: エシカルファッションを世の中で当たり前にしていくための課題を考えていたのですが、エシカルファッションとして作られた商品が高価になってしまうと特に若者にとってはとっつきづらいものになってしまいます。
かといって安価にするために大量生産すると、環境汚染の原因にもなってしまいます。 そういったジレンマというか、エシカルファッションならではの難しさを感じました。
また、解決策の案出しでは「学校や自分たちでもできることは何か?」というポイントを意識していました。
同じグループに書道部に所属している人がいたのですが「バガスの和紙を使って書道をする。」というアイデアを出していて、これは面白いと思いました。
自分が出した意見では「制服にバガスの製品を採用し、身近に触れる存在になると認知度は上がるのでは?」というものがありました。

ーーーありがとうございます!スタディツアーの参加から約1年経過していますが当日の学びをここまで解像度高く言語化できていて、ツアーを準備していた立場としては非常に嬉しく思います。
総合型選抜にスタディツアーを
どのように活かしたか?
ーーースタディツアーの経験や学びを大学受験・総合型選抜に活かして頂いたこともすごく嬉しいと思っているのですが、そもそも総合型選抜の準備はどのように進めていたか聞いてもいいですか?
生徒さん:私が受験した武蔵野大学の総合型選抜では出願資格として「フィールドスタディーズ(※1)」の経験をまとめたものと、魅力的な制作物の提出がありました。
※1 武蔵野大学 総合型選抜 I 期(面接型)出願資格 高等学校入学相当年度から出願時までの間に各自が学外で課題を発見し、解決策を検討したフィールド・スタディーズ(長期学外学修:国際交流、課外活動、クラブ活動(部活動含む)、ボランティアなど)の経験について以下の資料を提出できる者
1.フィールド・スタディーズにおける体験をわかりやすく記録し報告する資料(紙で提出。動画不可)
2.フィールド・スタディーズから生まれた魅力的な製作物(企画書、設計図、賞状、ポスターなど)
そのため修学旅行中のスタディツアーに参加した経験を「報告書」としてまとめ、自分が考えた解決のアイデアを「企画書」としてまとめました。
個人的に、企画書・報告書を書くのが初めてだったので、地元の図書館などを利用して書き方を1から勉強しました。
スタディツアー当日に講演でメモしていたワークシートやプログラム中に撮影していた写真をもとに資料を作成していき、夏休み中の登校日に合わせて担任の先生や学年主任の先生方に添削してもらいながら作りました。
ーーー もともとスタディツアーに参加したタイミングで、エシカルファッションは題材になりそうだと思って準備に取り組まれましたか? それとも参加後に振り返ってみたときに、スタディツアーの経験を受験で活用したいと思われたんですか?
生徒さん: 後者です。参加した時にはまったく思ってもいませんでした。ただ、総合型選抜対策を始める時に学校生活を振り返っていた中で最も印象に残っていたのが修学旅行中のスタディツアーの経験だったので活用しようと決めました。
ーーー 報告書・企画書作成や面接対策を行うなかでスタディツアーの経験が役立ったことはありましたか?
生徒さん: 志望していた大学の独自プログラムで、1年生の必修科目にフィールドスタディーズがあるので、修学旅行中のスタディツアーでの経験と絡めて学校外のリアルな現場で学ぶことへの経験や関心などを書かせていただきました。
また面接では、突発的に様々な角度からの質問が飛び交って大変だったのですが、今回の企画書を作った時に多角的視点で記載することを意識していたのでやり遂げることができました。
ーーー大学側から見て「自分自身のここが評価されたのではないか!?」など個人的にうまくいったポイントはありますか?
生徒さん: 報告書についてはインターネット検索だけでは絶対にわからないような沖縄ならではのエシカルファッションの現状を詳しくまとめることができた部分は評価されたと思います。
企画書では、エシカルファッションの解決策を思いつきで考えたのではなく、しっかりと追加リサーチも行った上で自分自身のアイデアの根拠まで明確に書くことができたところだと思っています。
ーーー 想像でかまわないのですが、この総合型選抜の取り組みで、もしスタディツアーに参加していなかったらどうなっていたと思いますか?
生徒さん: 総合型選抜への取り組み方は全然違ってたと思います。
今回受験した大学の総合型選抜では、フィールズスタディーズの製作物作り以外にも「学校内の校則や社会問題に対してのルール作り」に関する小論文執筆でも良かったんです。
おそらくスタディツアーに参加していなかったら提出物はおそらく小論文にして学校内の校則についてまとめていたと思います。
ただそれって誰でも書けそうな内容だし、あまり面白くないなと個人的には感じています。
スタディツアーの経験があったからこそ自分らしい報告書・企画書を作ることができましたし、内容としても現地でしかわからないリアルな情報や、ワークショップで学んだ多角的視点を盛り込むことができたのでクオリティにも満足するものにすることができました。
ーーー この先、将来の考え方や今後のキャリアなど大学受験以外の部分で自分に影響があった点はありますか?
生徒さん: 考え方の変化はあります。ものの見方が結構変わりました。スタディツアーの中で課題解決策を考える時に「悪い人を探さない」というのはよく言われていたので、そのおかげで企業や購入者とか生産者とか、それぞれの立場でその人たちの想いを考えることができるようになりました。
その分、すぐに答えが出てこないという難しさはありますが、より良い方向に深く考えるようになったと思います。
ーーー 今後、大学で取り組んでみたいことはありますか?
生徒さん: 大学1年時のフィールドスタディを利用して、今度はサトウキビ以外のエシカルファッションについて今まで以上に詳しく調べてみたいと思っています。
また、これは夢みたいな話にはなるんですけど、できれば企業と連携して、大学独自でバガスで洋服とか雑貨を作れたらもっとエシカルファッションの知名度が上がって、社会に貢献出来たりするんじゃないかなって思ってます。
今後スタディツアーに参加する
学生に向けてメッセージ
ーーー スタディツアーには年間1万人以上の中高生が参加しているのですが、今後スタディツアーに参加する同世代の皆さんに向けて何かメッセージはありますか?
生徒さん: 全員が全員、自分と同じ感性や考え方を持っているわけじゃないので本当にひとりの参加生徒としてですが、このスタディツアーって今しか経験できない貴重な機会なので少しでも興味を持ったり、これって何でだろうって疑問を持ったら大事にした方が良いと思います。
私が受験に活かすことができたように、将来その疑問が役立つ時が来るかもしれないので深掘りしていってほしいなと思います。
ーーー 最後に素晴らしいメッセージありがとうございました!この経験を活かして次のステージでも頑張ってください!